埼玉県八潮市の歯医者さん、八潮駅前通り歯科医院の山本です。
皆さんのお口のなかで今、奥歯でも前歯でもどこか上下の歯が触っているところがありますか?
もし、どこか1カ所でも触っているところがあるとすれば、それはTCHかもしれません。
TCHとはTooth Contacting Habitの略称で、上下の歯を接触させ続ける癖(上下歯列接触癖)のことです。何もしていない時には、ふつうは上下の歯は接触していません。上下の歯の間には1〜3㎜程度の空隙があります。
TCHでかかる力は強くなくても、継続時間が長いため、顎関節症をはじめとする口腔内のトラブルの原因となる可能性があります。
☆上下の歯が接触しやすい場面☆
<緊張時>
⚪︎緊張するような作業 ⚪︎苦手な人との会話
⚪︎テスト ⚪︎精密作業 ⚪︎面接
ストレスへの代償行動として噛みしめる動作が増える
<うつむいている時>
⚪︎勉強・テスト ⚪︎読書
⚪︎スマートフォン・携帯ゲーム
うつむくと自然と歯が接触する
<集中している時>
⚪︎精密作業 ⚪︎趣味など没頭する作業
⚪︎勉強 ⚪︎PC・スマートフォン
⚪︎車の運転 ⚪︎テレビ
⚪︎1人で黙々と行う作業(家事など)
集中作業は咬筋の活動が増加する
ふつう、歯の接触は噛んでいる時や飲み込む時、発音する時に起こるだけで、他の時間は上下の歯は離れています。時間にすると1日約20分程度しかありません。
しかし、これらの場面で歯を接触させる状態が繰り返し続くと、その状態に脳が慣れ「触れていることがふつう」になり、気づかなくなってしまうのです。
長い時間、接触させ続けることで顎の関節や筋肉、歯や粘膜などに問題が生じることがあるので、この癖を歯科では「TCH」と呼んでいます。
TCHを続けるとなにが起きる可能性があるのか!?
TCHをそのままにしておくと、顎関節症の悪化、歯や歯ぐきなどに力がかかり続けているため歯周病の悪化や知覚過敏、痛みを引き起こす可能性があります。
また、舌や頬の粘膜を絶えず歯に押し付けていることで、間違って噛んでしまったり、口内炎ができやすくなるほか、咀嚼筋が疲労して口の開け閉めや舌の動きが悪くなり、発音が不明瞭になったりする可能性もあります。さらに、歯や詰めものでは持続的な圧迫や揺さぶる力がかかり続けることで、詰めものが外れやすくなったり、神経を抜いて弱くなっている歯にひびが入ったり、インプラントのネジの緩みなどにもつながる可能性があります。
TCHを止めるには!?
TCHは気づくことが大事です。この癖に気づくようにすることから始めましょう。
ご自分で気づけるように家の中に「歯を離す」や「リラックス」「力を抜く」などのメモを見える場所に貼ってください。
それを見た時にもし上下の歯が触っていたら、鼻から息を吸いながら一度肩を大きく上げて、一気に口から息を吐いて力を抜きましょう。この方法は心理療法のひとつで「習慣逆転法」といいます。
これを繰り返すことで癖が自然に抜けていきます。
心当たりのある方や気になる方は定期検診でお気軽にご相談下さい。