こんにちは、埼玉県八潮市の歯医者さん、八潮駅前通り歯科医院の若林です。
今回は…口腔機能低下症とは?についてお話しいたします。
〜お口の“老化”を防ぐために今できること〜
近年、「口腔機能低下症(こうくうきのうていかしょう)」という言葉を耳にする機会が増えてきました。これは、加齢や生活習慣などによってお口のさまざまな機能が少しずつ衰えていく状態のことを指します。
食べる、話す、飲み込むといった日常の動作に少しずつ不自由を感じるようになると、栄養不足や誤嚥(ごえん)などを引き起こすリスクも高まり、全身の健康にも影響を及ぼします。
■ 口腔機能低下症の主な症状
お口には、「かむ」「飲み込む」「話す」「唾液を出す」など、実に多くの働きがあります。これらのうち複数の機能が低下している状態が「口腔機能低下症」と診断されます。
主な症状としては、以下のようなものが挙げられます。
- 食事に時間がかかる、硬いものが食べにくい
- むせやすくなった
- 以前より滑舌が悪くなった
- 口が渇きやすい
- 頬や舌の筋力が弱くなり、食べ物がこぼれやすい
- 「最近よく食べこぼす」「話しづらい」と感じる
このようなサインが見られたら、口腔機能が少しずつ低下している可能性があります。
■ なぜ起こるの?
原因の多くは加齢による筋力や神経機能の低下ですが、それだけではありません。
入れ歯や被せ物が合っていなかったり、歯を失ったまま放置していたりすることも、かむ力の低下につながります。また、あまりしゃべらない、やわらかいものばかり食べるなどの生活習慣も、お口の筋肉を使わなくなる原因です。
つまり、口腔機能低下症は「年齢のせい」だけではなく、日々の使い方や環境の影響で進行することも多いのです。
■ 放っておくとどうなるの?
お口の機能が衰えると、食事がしづらくなるだけではありません。
噛む回数が減ると唾液が減り、細菌が増えやすくなってむし歯や歯周病のリスクが上がります。さらに、栄養が偏ることで体力や免疫力も低下し、フレイル(虚弱)や認知症の進行にも関係しているといわれています。
口腔機能の低下は、“お口だけの問題”ではなく、“全身の健康”に直結しているのです。
■ 歯科医院でできること
歯科医院では、かむ力・舌の動き・唾液量・飲み込み機能などを測定し、総合的に評価します。その結果に応じて、次のようなサポートを行います。
- 噛み合わせや入れ歯の調整
- 舌や口周りの筋肉を鍛える「口腔機能訓練」
- 唾液分泌を促すマッサージや指導
- 食べ方や姿勢、食事内容のアドバイス
特別な機器を使わなくても、日常生活でできる簡単なトレーニングを取り入れるだけで、改善が期待できる場合もあります。
■ ご自宅でできる簡単トレーニング
- あいうえお体操:口を大きく動かしながら発音し、表情筋や舌の動きを鍛えます。
- 舌のストレッチ:舌を上下左右に動かしたり、ほほを押したりして舌の筋力をアップ。
- しっかり噛んで食べる:硬めの食材をよく噛むことで、自然とお口全体を使う習慣がつきます。

これらを毎日続けることで、口腔機能の維持・回復に役立ちます。
■ まとめ
口腔機能低下症は、誰にでも起こりうる“お口の老化現象”ですが、早めの気づきと対策で進行を防ぐことができます。
「最近、食べづらい」「話しづらい」「むせやすい」など、少しでも気になることがあれば、放置せず歯科医院にご相談ください。
お口の健康を守ることは、「食べる喜び」や「会話の楽しみ」を守ること。
いつまでも元気に過ごすために、今日から“お口のトレーニング”を始めてみましょう。















