院長ブログ

6月4日 むし歯の日にちなんで むし歯の話!

埼玉県八潮市のつくばエクスプレス八潮駅前にある歯医者さん、八潮駅前通り歯科医院の院長金田です。

本日は、カリエス-歯の損傷についてお話させていただきます。

カリエスという言葉は、疾患の病態と徴候の両方の意味を持つ病名である。 疾患は目に見えないこともある。歯面に生じる疾患のプロセスは、ある種の口腔細菌が 約30分間”酸”を産生し、歯の無機質を溶解・喪失させ、唾液がそれを取り戻す以上にの 喪失が進む状態をいう。無機質の除去と唾液によって取り戻された分の差が歯質の喪失となって ある時期になると疾患の徴候、つまり歯の損傷が事象として現れる。 目に見える大きさになった損傷と疾患とはイコールではない。 その前から既に歯に見えない穴はできているのである。

カリエスプロセスの核心

酸が歯の無機質を溶解する
歯面を覆う細菌から産出された酸が歯の無機質を溶解する。これがカリエスプロセスの核心である。 時間が経過すると、実際の疾患の徴候、つまりカリエスによる損傷がみられるだろう。 これはカリエスの典型的な様相で、ウ窩(穴)である。

酸はある種の細菌によって産生される
細菌から酸はどうして生じるのだろうか?ある種の細菌が、食物の中の糖類のような 発酵性炭水化物を分解する時に酸が生じる。ある種の口腔細菌は、口腔内の糖レベルの上昇に対応できる。 それらは糖類をすばやく酸、主に乳酸に分解するからである。もしもその能力がなかったら、口腔内の高い糖レベルの中で 生き抜くのは困難だろう。それは、高濃度の糖類で微生物の増殖を抑制する方法から理解できる。 例えば、砂糖菓子など砂糖を保存料として使うように、我々は知識を昔から利用している。

 脱灰と再石灰化

口腔の生態学的大惨事-脱灰
糖類と乳酸によって、他の細菌が生存しにくい環境になる。よって、酸産生細菌の占める割合が上昇し、 さらに酸が産生される。糖類のおかげで酸が産生され、耐酸性菌が選択されるわけである。 他ならぬ口腔の生態学的大惨事が生じる。発酵性炭水化物を含む食事を摂る度に酸が産生され、約30分から1時間の間、 プラークのpHが低くなる。低いpHのプラークは、歯の無機質に対して過飽和の状態を作る。その結果、様々な無機イオンが 歯面から離れる。これを歯面の脱灰と呼ぶ。

再石灰化
酸性状態の期間が短く頻回でなければ、酸産生が減少してpHが上昇し、無機イオンが歯面の中へ再び戻る。 つまり今度は、唾液中の無機イオンの方が過飽和状態になり、無機イオンが歯に戻る。 これを歯面の再石灰化と呼ぶ。

カリエスは局所的な生態系の問題
しかし、この反対の状態、すなわち酸産生とプラーク中pHの低い期間が長く頻回になると、再石灰化よりも脱灰の期間が 長くなる。すると、溶けた無機質のほとんどがこの場から失われる。その結果、歯面に欠損が生じる。ウ窩(穴)の始まりである。 カリエスは局所的な生態系の問題、つまり歯面上での長期化した酸性化現象に関するものといえる。 よって、カリエス病変は、慢性で局所的な生態学的破壊である。

カリエス病変が進行するには時間がかかる
このことから、カリエスのプロセスにいくつかのファクターが関与していることがわかるだろう。 すなわち、カリエスを避けたければいくつかのファクターに対応しなければならない。 プラークの酸産生能、食事頻度、食事内容、唾液の組成と分泌量、歯面の抵抗性、フッ化物の存在が重要である。 なぜなら、これが歯面にカリエスが発症するか否かを決定するからである。 カリエス病変が進行するには時間がかかる。ある健全歯に最悪のシナリオを考えてみよう。 毎時間糖類を摂取し、唾液分泌量が低く、酸産生能の高いプラークがある、と条件が揃っても、臨床的に目に見えるカリエス の損傷ができるには数週間かかる。

プロセスを止める多くのチャンス
通常はもっと長期間、数年という期間がかかるのである。これは、そのプロセスを止めるのに多くのチャンスがあることを意味する。

以上です。 ここまで読んでいただきありがとうございました。