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歯科治療の不要不急ってどう判断すれば良いの?

八潮駅前通り歯科医院の飯野正義です。

皆さん、昨今のコロナウィルス蔓延での自粛生活ご苦労様です。私自身も可能な限り外出を控えるようにしていますが、そろそろ、髪も伸びてきていますし、「不要不急」と言われてからかなり経過しているように感じていたところでした。

感染者数推移と「不要不急」検索トレンド

 実際、政府の専門家委員会がコロナウィルスによる「不要不急」の外出自粛要請を最初に行ったのは、2月17日だったようで、かれこれ2ヶ月近くたっていた事に自分でも驚きました。皆さんにも、数週間のことだろうと思ってとりあえず延期して、そのままにしていることもちらほらあるのではないでしょうか?

そもそも、歯医者さんで不要不急な事ってどういうことですか?

横を要不要、縦を急不急にして、歯医者の治療内容の例を表にしてみました。

「不要不急」マトリックス

断言します。歯科の診療で不要かつ不急な事はありません。歯科医院で必要もないのに診療を行う事はありませんよね😅いま、市中にコロナウィルスが蔓延する中で皆さんにしてほしいことは、外出しなくてすむように、歯科を受診する回数をできるだけ減らすこと。そのために、検診を受ける事なのです。

緊急性が高くて、必要性が高い治療は回数と時間がかかる

一般的な歯科治療の中で、一番時間がかかる治療は根管治療(炎症が起きている神経を取り除くことや、その再治療)です。大人のむし歯で、痛みが出た場合、かなりの確率で根管治療が必要になります。最終的に、かみ合わせを作るところまで治療が終了するまでには、ひと月から数ヶ月通院が必要になります。もし、検診で痛みがない段階でむし歯を発見し治療ができれば、根管治療をせずに、1カ所につき1回から3回程度の通院で治療を終えることができます。また、痛みが消失した為に根管治療を自己判断で中断すると、2週間程度で仮の蓋が劣化してしまいます。そうすると、歯の中に細菌が繁殖し、痛みを生じ、治療が難しくなり、歯を抜かなくてはいけなくなることも少なくありません。冷たいものやあついものでしみたりと言った前兆を我慢して、重傷化してから来院するケースも最近増えているように感じます。

かめない状態を放置していると、致命的な病気のリスクが上昇する

また、歯周病のリスクが高い人が検診を怠ると、歯周病が急速に進行し強い痛みを伴う症状が出ることがあります。これを放置すると歯の揺れが大きくなり、抜歯が必要となります。歯がない状態をさらに放置すると、かみ合わせがないことによって歯が動いて、しっかりかめるかみ合わせを作ることが難しくなります。

 そもそも、食事を十分にかめない状態が数ヶ月単位で続けば、栄養状態が偏って脳梗塞、心筋梗塞のリスクを高め、糖尿病の悪化などを招く事になるのです。

定期検診を受ける間隔については、患者さんの歯周病、むし歯などのリスクを考えて、歯科医師の経験に基づき適切に決められています。リスクの程度にもよりますが、多少延期するのは問題ないとは思うのですが、それにも限界があるでしょう。

検診で問題を早期発見することが、口の中の緊急事態を避けることにつながる

自粛の期間が数ヶ月におよんでいる今、不要不急という言葉が意味をなさなくなってきています。緊急事態の期間についてはゴールデンウィークまでとなっていますが、その期間で終了するとは限りません。相当厳しい移動制限を課した中国を除いて、数ヶ月経過した今も世界での感染拡大が収束する気配はありません。場合によっては数年単位で自粛対応を強いられる可能性だってあるでしょう。歯科の検診に限ったことではありませんが、これだけ自粛の期間が長くなれば、不急なことであっても、必要なことを計画を立てて着実に行っていくべきでしょう。

当院で行っている感染対策

当院では、以前より標準感染予防を徹底しています。これは、すべての人は伝播する病原体を保有していると考え、それがスタッフやほかの患者様に感染拡大しないようにする対策のことです。防護具や術者が触れる場所に貼るフィルムを患者様ごとに交換し、設備の消毒を頻回に行うことで院内感染の予防を行っています。

 また、可能な限り同時に診療する患者様の間隔をあけて診療するようにしています。

以下の例に当てはまる場合は、事前にご連絡ください。

過去、2週間以内に発熱や咳などの呼吸器症状の有る方、海外渡航歴等がある方については事前にご連絡をお願いいたします。

コロナウィルスに感染の疑いがある方に関しては、確実な感染予防が難しいため、飛沫を飛ばしてしまう歯科用のドリルや歯石を取るための機械を使うことが難しく、応急処置を行うのみにとどめ、快復後に処置を行う事になると思います。そのような事情もありますので、普段検診を受けていない方こそ、早めの検診の受診を宜しくお願いいたします。

自粛をしていても、ウィルスが手をゆるめてくれるわけではないですし、むし歯や歯周病の病原菌も待ってはくれません。各自で対策を講じて、いざというときの備えをしましょう。