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第三の歯の疾患?

埼玉県八潮市の歯医者さん、八潮駅前通り歯科医院の関根です。

皆さんは酸蝕症という言葉を聞いたことがありますか?

近年、残存歯(現在歯)の増加にともない、むし歯や歯周病に続く第三の歯の疾患として酸蝕症が注目を集めています。
 
歯は想像以上に酸に弱く、実は私たちが「すっぱい」と感じる酸性度の高い飲食物に長く触れていると、いとも簡単に溶けてしまうのです。
 
歯の表面を被っているエナメル質は人体で最も硬い組織です。ところが、強い酸に触れると化学反応を起こして分解し、溶けてしまいます。
 エナメル質が溶けてしまうと、その下にある軟らかい象牙質がむき出しの状態になり、食べものを噛んだり歯みがきをしたりする時の摩擦でどんどんすり減ってしまいます。
こうした状態を放っておくと、冷たいものがしみる知覚過敏症になったり、むし歯が一気に進行したりするなど、さまざまなトラブルを引き起こすことになります。

この現象を「歯の酸蝕(さんしょく)」といい、酸蝕によって歯が病的に傷んでしまった状態を「酸蝕症」と呼びます。

酸蝕症にかかった歯には、次のような特徴がみられます。

・知覚過敏を起こして冷たいものがしみやすい
・歯全体が丸みを帯びる
・エナメル質が濁って見えたり、内部の象牙質が透けて見えたりする
・前歯の表面がスベスベしてツヤがある
・前歯の先端部分が透けており、ヒビが入ったり、欠けたり、ザラついたりする
・酸蝕により奥歯のすり減りが加速し、深い溝やへこみがみられる

酸蝕症の原因は、体内から口のなかに酸が出てくることによる内因性のもの、酸性度の強い飲食物を口にするなど外因性のものの2つに分けられます。
内因性の病因としては、胃食道逆流症、摂食障害(過食症、拒食嘔吐)、アルコール依存症などが指摘されます。
外因性の病因としては、酸性度の高い飲食物や医薬品、サプリメントなどの過剰摂取が考えられます。具体的には、次のような飲食物や医薬品、サプリメントが挙げられます。

・みかんやグレープフルーツ、レモンなどの柑橘系の果物や果汁からつくられたジュース、梅干し
・ビタミンCなどを含む酸性のビタミン剤やサプリメント
・炭酸飲料、黒酢、栄養ドリンク、ワイン、スポーツ飲料

外因性の酸蝕症は、このほか塩酸や硫酸、硝酸など酸性のガスが発生する工場で働く方々、ワインの試飲をされているワインティスターの方々などにもみられます。

私たちの口の中は、普段は中性のpH7前後に保たれています。しかし、飲食物や胃酸の影響で酸性度が高くなり、pH5.5以下になると歯は溶けやすくなります。
 とはいうものの、酸性の飲食物は健康に良いとされている物も多く、まったく控えてしまうわけにもいきません。

 酸蝕症を防ぐためには、
①酸性の飲食物を口にした後は水で口をゆすぐ
②酸性飲食物をだらだら食べたり飲んだりしない
③寝る前には酸性の飲食物を控える

といった対策が必要です。

酸蝕症は、むし歯や歯周病に続く第三の歯の疾患で、現代の生活習慣病です。
定期的に歯科医院を受診し、歯の健康状態をチェックしてもらいましょう