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虫歯予防にはフッ化物!

埼玉県八潮市の歯医者さん,八潮駅前通り歯科医院の若林です😃

4月も1週間が過ぎました。

菜の花や桜もあっと言う間に満開になり、だいぶ暖かくなりましたね。

今回は「虫歯予防の最強な味方!フッ化物」についてお話しします。

【虫歯予防は、フッ化物>ブラッシング】

①「歯磨きは1日3回」は実は薦められていない⁉️

「虫歯にならない為に、歯磨きは1日何回すれば良いですか?」と患者さんから聞かれることがあります。

この問いに答えら為に、ブラッシング頻度とう蝕(虫歯)予防効果についての論文を調べてみました。

すると,意外なことに、歯肉の炎症改善効果や糖尿病などの全身疾患予防効果についてはブラッシング頻度が高いほど効果が高いという論文は有るのですが、う蝕予防を目的として1日3回以上のブラッシングを明確に推奨している論文は見当たりませんでした。

 臨床研究でも、ほとんどが「1日に2回以上」「2回未満」、もしくは「1回以上」「1回未満」「不定期」といったカテゴリー設定での分析で,3回以上(2回超)がカテゴリーとして設定されている論文は1つだけしか見つかりませんでした。また、この論文でもブラッシングが1日2回以下のグループと2回を超えるグループでう蝕抑制効果に統計的有意差は認められなかった,と述べています。

②う蝕予防におけるブラッシングの効果は限定的

う蝕予防を目的とした一般的なブラッシングの目的を細分化して…

1,う蝕原因菌の比率が高まった成熟プラークの破壊と初期化

2,口腔内に残存した食事由来の発酵性糖質の除去

3,フッ化物配合歯磨剤による歯質強化

4,フッ化物配合歯磨剤による再石灰化促進

5フッ化物配合歯磨剤による細菌の解糖系酵素阻害と,それに続く有機酸(主に乳酸)産生抑制

 とするならば、3、4、5はフッ化物の作用によるものですので、1、2のみがフッ化物配合歯磨剤を使用しない場合でも期待できるブラッシング効果ということになります。このうち、2については1日のブラッシング回数が多いほど良さそうなのですが、これについては食後のうがいや、お茶や水を飲むことでも効果があると思われます。

 また、ブラッシングによるプラーク除去は個人の技量によってその効果が大きく異なるため、効果にバラツキが大きく出るということもあり、ブラッシング頻度だけで分析しても有意な差が出にくいのかもしれません。

さらに、歯ブラシの毛先は狭い裂孔の奥までは届かないことも電子顕微鏡を用いた観察によって報告されており、ブラッシングのみによるう蝕予防の限界を示唆しています。

③う蝕予防に最も有効なのは、フッ化物配合歯磨剤

 それでは、現在最もエビデンスレベルが高いう蝕予防法は何でしょうか?

それは、「1日2回以上のフッ化物配合歯磨剤によるブラッシング」です。

日本の通常の歯磨剤には、1000〜1500ppm程度のフッ化物が配合されていますが、世界の他の地域では様々な濃度のものが販売されています。

 フッ化物濃度の最低基準値はありませんが、歯磨剤への配合最大許容濃度は年齢や国によって異なります。

日本では以前は最高濃度1000ppmのフッ化物配合が限度でしたが 、2017年3月以降は最高濃度1500ppmまで配合することが厚生労働省によって承認されました。

 ただしフッ化物濃度の高い歯磨剤はう蝕に対する保護効果が高い反面、成長期の歯にフッ素症(エナメル質の欠陥)が発生するリスクがあるため幼児期と小児期に推奨されるフッ化物濃度が低く抑えられています。

④ライフステージ別フッ化物配合歯磨剤の最新情報

乳歯列期,10代、成人期〜高齢期のそれぞれのライフステージで推奨推奨濃度が異なることに注意してください。

日本口腔衛生学会は根面う蝕予防効果や歯のフッ素症の万が一の発生リスクも考慮して、推奨濃度を決めています。 幸いなことに、すべて現在の日本で購入可能な配合濃度についての情報です。(もし2017年3月以前の1000ppm以下の規制のままだと、市販されている歯磨剤のフッ化物配合濃度が最高でも950ppmでしたので.幼児以外の年齢層に対してエビデンスを示すことができない低濃度だったのです)なお、日本国衛生学会では口腔衛生学会ではフッ化物配合歯磨剤を用いたブラッシングの後は、5〜15mlの少量の水で1回のみ軽くうがいし、1〜2時間は飲食を控えることを推奨しています。

 推奨濃度 

日本口腔衛生学会では…

6歳未満→500ppm

6〜14歳→1,000ppm

15歳以上→1,500ppm以上 

となっています。

う蝕(虫歯)は生活習慣病です。

砂糖消費量が少なくてもいつ何を食べるのかもう蝕発生に大きく関係しています。

患者さんの背景にダラダラ食べの習慣、砂糖以外の発酵性糖質(ブドウ糖、果糖、調理したデンプン)の過剰摂取、う蝕を発生させてしまう家庭環境等が無いか確かめることが大切です。う蝕が多い人には必ず原因があります。

原因にアプローチした予防、メンテナンスを当院では実行しております。

虫歯を予防するためにも、フッ素配合歯磨剤の使用と定期的な検診クリーニングを受けましょう❗️