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噛まなくなった現代人

埼玉県八潮市の歯医者さん、八潮駅前通り歯科医院の山本です。

梅雨の季節となりました。

紫陽花の花が鮮やかな色を見せる季節ですね。

さて、突然ですが、「平均620回」

この数値が何を意味するかご存じでしょうか?

答えは現在日本人が一食当たりに要する咀嚼回数です。数字だけ見ても多いのか少ないのか今ひとつピンとこないと思いますが、昭和初期には平均1,420回咀嚼していたと言われているため、なんと半分以下に減っていることがわかります。

さらに時代を遡ると、江戸時代は平均1,465回、鎌倉時代は平均2,654回、弥生時代においては平均3,990回と報告されています。歴史的にみても、日本人の咀嚼回数は減ってきていることがわかります。

噛まずに食べられるもので溢れている現代

仕事、家事、育児に追われて忙しい日々を過ごしている現代人には空腹を満たすだけの食事が横行し、エネルギーを摂取するだけの食習慣になっているようです。

時間に追われて早食いになると、咀嚼の回数が顕著に減少するため、食物を歯で噛み砕き、舌で唾液と混和して十分に食塊を形成しないまま飲み込むようになります。

例えば、カレーライスや麺類、お茶漬け、雑炊などはそれほど噛まなくても飲み込めてしまいます。弥生時代の食生活をみると、玄米のおこわや乾燥した木の実、干物など、硬くて、噛みごたえのある食材で構成されることが多かったようです。

食べ方が問題なのか、食形態が問題なのか、いずれにしても人間の食べ方は、小さい頃からの食習慣とそれにともなう口腔機能の発達が影響しています。特に、幼少期より成長の過程でほとんど噛まなくてよい食事が習慣化すると、いわゆる「流し込み食べ」という食べ方が身についてしまいます。

☆噛むことの大切さ☆

①唾液分泌の促進

食事中に食物をよく噛み唾液が分泌されると唾液中の水分、ムチン、α-アミラーゼの働きによって咀嚼しやすくなると言われています。特に、口腔乾燥している人では、その効果を実感しやすいようです。

また、唾液は胃での消化作用に優れた役割を果たしているので胃の負担も軽減します。

②脳の活性化

咀嚼が脳の広範な領域を活性させます。

それにより記憶力や集中力、判断力が高まります。

③生活習慣を予防する

咀嚼によって食後の急激な血糖値の上昇が抑制されます。

咀嚼回数が多いと食後の満腹感や満足度も得られやすくなります。

④誤嚥性肺炎を予防する

食塊形成能が低い高齢者は、嚥下に異常がないようにみえても誤嚥性肺炎の発症率が高いことが明らかになりました。

ゆっくり時間をかけて咀嚼することは、誤嚥や窒息の予防になるとともに食物を味わううえでも大切です。

しかし、

極端に「30回以上噛んで食べよう!」と回数に固執し過ぎると、せっかくの食事も楽しくなく、美味しさも半減してしまいます。

同じ料理でも人によって食べ方は様々です。

食べる食材によっても食感や美味しさを感じる咀嚼回数、適度な食塊形成にふさわしい咀嚼回数は異なります。

個人差もあるため、無理なく毎日の食事を美味しく食べられるようにしましょう^_^