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口腔がんについて

こんにちは、埼玉県八潮市の歯医者さん、八潮駅前通り歯科医院の衛生士、若林です。

今回は、口内炎と間違われやすい口腔癌についてお伝えしていきます。

近年、欧米諸国では口腔がんの罹患率は減少してきています。しかし日本においては他臓器癌と同様に増加傾向にあります。

口腔癌の好発年齢は50〜60歳で男女比が3対2で男性が多い疾患です。

 癌による死亡者数は、1981年に脳卒中を抜いて、死亡原因の第1位を占めるようになって以来、年々増加し、2000年には年間29万人、2015年では37万人を超える傾向にあります、これは死亡総数の28.7%を占め国民の3人に1人が癌で死亡していることになります。

口腔癌は全癌のうち11〜14番目の罹患率です(1〜3%)

口腔癌はどんな癌でしょう?

 口腔癌には悪性黒色腫や骨肉腫に代表される肉腫も含まれますが、大半は口腔を覆う粘膜に発生する癌「口腔扁平上皮癌」です。

好発部位は舌で(全体の約60%)次いで多いのが歯肉で約18%を占めます。歯肉は直下に骨が存在し、早期から顎骨に浸潤するという特徴があります。そのため、歯肉炎や歯周炎などの歯周疾患と間違われやすく、歯周治療や抜歯を行った後、治癒不全となり、癌とわかる場合もあります。

見た目は様々で進行した状態で、病院を受診した患者さんの中には

「いつもできる口内炎だと思って放置していた」「市販薬を塗ったら少し良くなったので様子を見ていた」

と言う方が少なからずいらっしゃいます。症状を詳しく聞きメインテナンス時などに早期発見し、早期治療をすればほぼQOLへの影響はありませんが、進行した場合の治療では、構音障害、摂食嚥下障害など大きな影響が出てしまいます。口腔外にも手術創ができる場合もあります。

口腔癌の主な発生部位

口内炎と口腔がんは見分けられる?

見た目(視診)だけで100%診断をするのはどんな経験のある歯科医師、歯科衛生士でも非常に困難です。最終診断には、病理検査(組織診)が必要です。

しかし、臨床的に見分けるポイントがあるのも事実で、実際には問診による経過(頻度、病悩期間)、自覚及び他覚症状、触診による易出血性や硬結の次の有無を総合して診察していきます。

口腔癌を疑う潰瘍は周囲がやや膨隆、周囲に硬結があり、出血しやすい特徴があります。また病変と周囲健常部粘膜との境界が不明瞭へとなっている場合は、悪性を疑わなければなりません。

見分け方ではありませんが、自覚してからの期間(病悩期間)も重要です。2週間以上改善のない口内炎は悪性腫瘍である可能性が高くなります。

口内炎の所見と判断した症例が、実際には口腔癌であることもあるので、全身状態も含めて慎重な対応、経過観察が必要です。

当院での歯科予防処置やメンテナンス時には、虫歯や歯周病だけでなく、疑わしい口腔粘膜疾患を早期にキャッチして、しかるべき診察、検査を受けていただき、疾患の発症を未然に防ぐよう努めてまいります。