埼玉県八潮市の歯医者さん、八潮駅前通り歯科医院の山本です。
口腔内にはいろいろな細菌が生息しています。そのうちむし歯菌には
①酸を産生する能力が高い
②酸性環境でも平気で生育できる
③ネバつきの強い基質を菌体の周囲に放出し、歯面にガッツリと固着する能力が高い
という特徴があります。
これらの特徴をすべて兼ね備え、むし歯菌の代表選手とされているのがミュータンス菌です。
ミュータンス菌の定着時期(いつ頃やってくるのか?)と感染源(どこからやってくるのか?)についてお話ししたいと思います。
ミュータンス菌は食べ物の中の糖分から、ベタベタした粘り気のあるプラーク(歯垢)を作り出して歯にくっつきます。さらにプラークの中で歯のエナメル質をとかす「酸」を出し虫歯にしてしまいます。
口腔内への定着時期としては、2つの「感染の窓」の時期が提唱されています。
1つ目は生後19〜31ヶ月の間(1歳7ヶ月から2歳7ヶ月)、2つ目は永久歯としてもっとも早く放出してくる第一大臼歯の萌出時期(6歳ごろ)です。
続いて感染源について、ミュータンス菌は生まれたばかりの赤ちゃんの口の中にはいません。
食事の時に使うスプーンやお箸の共有、またはスキンシップなどで大人から感染します。
お母さんの垂直感染以外にも他の養育者や保育園・幼稚園などのお友だちからの水平感染もあります。
ミュータンス菌は主として歯面表層に定着しますが、歯が生えていない乳児の舌や粘膜からも検出されていることからこの細菌は粘膜表面にも定着するという報告があります。
したがって「まだ歯がない時期だから、むし歯菌が定着することはない」と油断するのは禁物です。
また、お母さんの唾液中のミュータンス菌の数が多いと、乳児の口腔内のミュータンス菌の数も多くなることがわかっています。
しかし、虫歯リスクの高いお母さんであっても、きちんと虫歯治療を受け、ホームケアをしっかりすることで、子どもへのミュータンス菌の感染を効果的に減らすことができます。
生まれてくる赤ちゃんの口腔内にできるだけむし歯菌を多く繁殖させないための工夫をすることは重要です。
家族に虫歯が多いご一家にお子さんが生まれる場合には、まずご家族のお口の環境整備と食事習慣の見直しをしましょう。
ご家族みんなで歯科検診を受けていただけるようスタッフ一同、お待ちしております♪