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歯ブラシが届かないところへのケアは?

埼玉県八潮市の歯医者さん、八潮駅前通り歯科医院の山本です。

「むし歯予防には歯磨き!」と誰もが知っています。しかし「歯磨きをしていたのにむし歯になった」という経験はありませんか?

そもそも今の時代、歯磨きをまったくしていない人はほとんどいませんが、むし歯は多くの人が経験をしています。なぜでしょうか?

実は、歯と歯の間や奥歯の溝など歯ブラシが物理的に入り込めない細かい隙間の部分から、多くのむし歯が発生していることがわかっています。いくら頑張っても歯ブラシが届かないところがあり、そこがむし歯になりやすいのです。

では、歯ブラシがどうやっても入らない部分のむし歯予防にはどうしたらいいのでしょうか?まず挙げられるのがフッ化物配合の歯磨き粉の家庭での利用(セルフケア)、歯科医院でのフッ化物塗布(プロフェッショナルケア)です。

フッ化物の特徴・使用法

①モノフルオロリン酸ナトリウム(MFP)

<特徴>

・エナメル質表面のカルシウムとの反応が遅いため初期むし歯深くに浸透(すすぎ過ぎ厳禁)

・初期むし歯の再石灰化にピッタリ

<使用法>

・歯磨き粉で用いる(5001,450ppm)

②フッ化ナトリウム(NaF)

<特徴>

・エナメル質表面のカルシウムと素早く反応してフッ化カルシウム(CaF2)となる

・エナメル質表面のフッ化カルシウムは徐々にフッ素を遊離し、エナメル質深部に浸透する

<使用法>

・歯面塗布で用いる(9,000ppm)

歯科医院で36ヶ月に1回塗布する

・歯磨き粉で用いる(5001,450ppm)

毎日家庭で使うことで、高濃度フッ素の減少分を補う

歯磨き粉に配合されるフッ化物として典型的なモノフルオロリン酸ナトリウム(MFP)は、日本で市販されている濃度範囲(5001,450ppm)でエナメル質表面のカルシウムとの反応が遅いため、初期むし歯深くに浸透しやすいという特性があります。逆に口をすすぎ過ぎるとあっさりと流れていってしまいます。

一方、プロフェッショナルケアで用いるフッ化ナトリウム(NaF)は、エナメル質表面のカルシウムと素早く反応し、いったん歯面表層にフッ化カルシウムを形成した後、徐々にフッ化物イオンを遊離し、エナメル質深部に浸透させるという作用があります。

プロフェッショナルケアとセルフケアの双方でフッ化物を使うことによって、短期的な効果と長期的な効果の両方がカバーされ、万全の体制になるわけですね。

ブラッシング法もチェック!

一昔前のブラッシング法は「歯磨き粉は少量あるいは付けない、ゴシゴシ磨く、たっぷりの水で何回もうがい」でした。

令和のブラッシング法は「歯磨き粉はたっぷり、歯列全体に塗り広げる、磨くのではなく毛先で歯垢を掻き出す、うがいは少量の水で1回のみ」です。歯磨き粉の有効成分をできるだけ歯や歯ぐきの表面に残すのが今の考え方です。

皆さん、チェックしてみて下さいね!